中国におけるレアアース輸出規制の影響について

お客様各位

平素より弊社製品をご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

 現在、中国政府によるレアアース資源の輸出規制が強化されており、 弊社が仕入れている一部の磁石部材についても調達への影響が出始めております。 これに伴い、弊社で製造している磁石組込製品の納期や対応方法にも変化が生じております。
以下に、現時点での状況と弊社の対応方針についてご案内いたします。

2025/07/01 更新

■ 規制の概要

 2025年4月4日より、中国政府はレアアースを含む金属・合金・酸化物の輸出に対し、 商務部による輸出許可制を導入しました。対象となる主な元素(中・重希土類7種)は以下の通りです。
・サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)
・ジスプロシウム(Dy)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)

 中国当局は「極微量でも対象元素を含有すれば規制対象」という運用姿勢を提示しており、 目的地・用途を問わず、ゼロデミニミス(わずかな含有量でも規制対象とみなされる)方式で審査しています。
 なお、実際には全ての希土類磁石製品に「輸出許可証」が必要となる見通しであり、 最終用途の確認書類(End User Statement)が必要となる見込みです。

■ 磁石材料の調達状況について

 輸出規制の影響を受けている磁石材料(ネオジム・サマリウムコバルト等)については、調達リードタイムが従来の2倍以上に伸びている例もあり、仕入先によっては納期が3〜6か月かかるケースもございます。
 また、規制対象外とされているフェライト磁石やアルニコ磁石においても、税関での審査や輸送混乱により納期遅延が発生するケースが見られます。
 弊社では、信頼できる国内外のサプライヤーと連携し、在庫確保や代替調達の対応を行っておりますが、今後の生産計画に影響が出ないよう、早めのご相談・ご発注をおすすめしております。

ネオジム磁石については、特にジスプロシウム(Dy)やテルビウム(Tb)を含む高耐熱タイプのものが影響を受けやすくなっています。

■ 今後の見通し

 現在も情報の変化が激しく、中国国内でも混乱している状況ですが、以下の点については今後さらに注視が必要です:

  • 中国政府の輸出規制が他のレアアース元素や加工品に拡大する可能性
  • フェライトやアルニコなどの非希土類磁石も検査対象となる傾向が継続する見通し
  • 中国国内での申告で不正が多発していることから、税関での検査基準が厳しくなっている
  • 米中間の通商関係の動向によって、リードタイムやコストが大きく変動する恐れ
  • 5月段階で中国からのレアアース磁石輸出は 前月比53%減・1238トン と報告され、半減水準(参考)

■ 弊社の対応

 弊社では、製品の安定供給を維持するため、以下の対策を講じております:

  • 該当磁石を使用する製品について、構造変更や代替磁石のご提案(フェライト磁石への変更・電磁化など)を検討・実施
  • 現時点で確保している在庫分については、影響なく出荷可能(数量に限りがございます)
  • 新規発注分については、仕入先を通じて輸出許可証の申請を行っておりますが、手続きに45営業日程度(約2か月)以上を要する見通しです
  • 調達先からの要請により、最終用途情報やエンドユーザー名の確認をお願いする場合があります
  • フェライトやアルニコ磁石についても、実際には成分分析表の提出や税関対応が必要となっており、納期が延びるケースがあります

■ お客様へのお願い

 今後の納期遅延や供給不足を回避するため、以下のご協力をお願い申し上げます:

  • 予備品や定期交換品などは、可能な限りお早めのご発注をご検討ください
  • 特にネオジム磁石/サマリウムコバルト磁石を使用した製品については、早期のご相談・ご手配を強く推奨いたします
  • ご使用予定の数量・納期がある程度決まっている場合は、事前にご相談いただけますと、対応がスムーズです

※本内容は2025年6月20日現在の情報をもとに作成しています。
 中国国内の政策変更や国際情勢により、状況は流動的です。
 引き続き最新情報が入り次第、随時更新してまいります。

ご不明点やご相談がございましたら、営業担当までお気軽にお問合せください。